300km以上の超遠望の山

 中村 健さん(ZWR05331@nifty.com)の計算によると、相互の距離が300km以上になる超遠望の可能性のある山は、下の13組です。下の図または表の、番号をクリックすると新しいウィンドウに展望図が表示されます。展望図は、一部を除いて気差係数を標準的とされる14.74(屈折係数0.134、展望係数1.156)として描きました。また、特に記していない場合は、500mmレンズによる描画です。中村さんによれば、海面すれすれの空気の濃いところは屈折率が大きく、もう少し見えやすくなるということですが、ここではそこまでは考慮していません。

 これらの中で実際に現地で展望が確認されているのは(11)の富士山−妙法山だけです。妙法山とその近くの大雲取山からの富士山は、写真家の楠本弘児さんにより写真が撮影されています(「和歌山県から富士山が見えた!」を参照ください)。他の山は、見たという報告や伝聞すらないのではないでしょうか。

(1)利尻山狩場山304km
(2)芦別岳八甲田山309km
(3)*1幌尻岳岩手山348km
(4)カムイエクウチカウシ山安家森305km
(5)鳥海山鹿島槍ヶ岳341km
(6)月山奥穂高岳328km
(7)以東岳奥穂高岳300km
(8)花塚山富士山308km
(9)*2,3日光白根山三宅島301km
(10)*4北岳八丈島西山314km
(11)富士山妙法山322km
(12)劒岳仏生ヶ嶽317km
(13)笈ヶ岳大山311km
*1 幌尻岳−岩手山の展望は気差係数15.15としたときのものです。気差係数14.74では、幌尻岳−岩手山は互いに見えません。
*2 中村さんによれば、女峰山−三宅島(302km)が可視となっていますが、カシミールによる判定では気差係数を15.15にしても見えないので、女峰山は除きました。
*3 2000年6月に始まった火山活動により、雄山の山頂火口付近は崩れ落ちて低くなってしまったため、今はもう、日光白根山−三宅島は見えないかもしれません。
*4 北岳−八丈島西山の展望は、気差係数を15.15にしたときのものです。八丈島西山は、山頂三角点ではなく、火口の西部です。気差係数14.74では、北岳−八丈島は互いに見えません。

※超遠望で、きわどく見えるかどうかというのは、気温や気圧など気象条件の微妙な違いに左右されます。中村 健さんによると(@nifty FYAMAP MES6-#14919, 1999/11/15)、気差係数14.74の気象条件は、例えば「高さ0mでの気圧が1013hPa,気温25℃、温度勾配が0.65℃/100m、光の通り道の高さが2250m」の場合です。同様に、気差係数15.15は例えば高さ0mでの気温0℃で他の条件が気差係数14.74と同じ場合です。冬の季節なら気差係数が15.15になる可能性は充分にあるでしょう。蜃気楼のような現象があれば、ここにあげた例よりもさらに遠距離の展望が得られることもあるかもしれません。
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