位置:南アルプス市芦安芦倉、北緯35.7457度,東経138.2343度,標高:2264m
地形図:国土地理院1:25,000「仙丈ヶ岳」→地理院地図(電子国土Web)
アクセス:北沢峠から登山道を徒歩1時間20分.
北沢峠から北沢沿いの道をたどり仙水小屋を過ぎて樹林帯を抜けると、岩塊斜面があらわれる(写真1)。谷は大小の岩塊に埋め尽くされ、岩塊斜面の上には摩利支天が頭をのぞかせて、一種異様な風景を見せている(写真2)。これらの岩塊は、最終氷期に岩石の割れ目にしみ込んだ水が凍結融解を繰り返して岩石が破砕されてできたと考えられている。岩塊斜面は、山梨県内では南アルプスや関東山地の高山地域の各所で見られるが、仙水峠は日本の岩塊斜面の代表的なものだと言われている(青木、2002)。岩塊はすべてホルンフェルスで(写真5、6)、これは白亜系の白根層群の頁岩が甲斐駒ヶ岳深成岩体の貫入により熱変成を受けたものである。
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[文献]
- 青木賢人(2002)仙水峠と白鳳峠の岩塊斜面、日本の地形レッドデータブック第2集、古今書院、p.126
- 小泉武栄(1998)氷河時代に思いを馳せる岩塊斜面ー仙水峠、山歩きの自然学(山と溪谷社)、p.118-119
- 村松武(2001)地形・地質観察ガイド(1)甲斐駒ヶ岳、村松武・四方圭一郎・下平勉(編)、南アルプスの山旅ー地形・地質観察ガイドー、飯田市美術博物館、p.22-25
- 尾崎正紀ほか(2002)20万分の1地質図幅「甲府」、産業技術総合研究所・地質調査総合センター