鉢盛山とハト峰(長野県)

鉢盛山地図
南アルプスと富士
<甲斐駒と北岳の間にかすかに富士が>
塩尻の西の鉢盛山に行ってきました。『車窓の山旅・中央線から見える山』に は、「松本平の西南にひときわめだつ鉢を伏せたような山」と紹介されています。

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 塩尻駅からタクシーで、高原野菜畑の中の「サラダ街道」を通って朝日村へ。運転手にすすめられて役場に寄る。林道は工事の車が入っているので、ゲートは開いているとのこと。「鉢盛山ガイド」というパンフレットをもらう。最奥の集落の御馬越を過ぎた所にゲートがあり、係員が入山者をチェックしている。入山者名簿に記入する。この日は約20人の記載があって、うち7割は山菜採り、残りの3割が登山者。

 標高1750mの登山口までタクシーで登ってしまう。タクシー代8,090円也。12kmの林道歩きを覚悟していただけにラクチンラクチン。登山口には3台が駐車。皆日帰りのようで、登り始めてから4組7人が下りてくる。もう、この山には我々だけだ。

 標高2100m付近の最後の水場で米を研ぎ、水を汲む。稜線に出ると残雪あり。雪に埋もれた「権現の庭」という小湿原を過ぎると、すぐに林の中にプレハブの避難小屋が現れる。暗くて快適とは言い難い小屋なので山頂を目指す。10分ほどで3つの石祠と真新しい木の祠のある鉢盛山山頂。一等三角点と展望盤もある。

 午前中は快晴だったけれど、さすがに霞んできた。それでも槍穂を始め、まわりの山はひととおり見える。木に邪魔されて1点360度といかないのが難なれど、広い山頂をあちこち歩き回れば何とか見えそうだ。北寄りのマイクロ波の反射板の所からの槍穂は素晴らしい。明朝の天気に期待をかける。塩尻や松本の夜景を眺めるのにも良い場所だと思う。寒かったこともあり、7時前には寝袋に入る。夜景は見ずじまい。

 寒くてよく眠れず。テントの中で零下4度。一昨日の甲府は30度を越えていたのに。テントを出れば快晴!松本盆地に広がる水田が朝日を反射して光っている。眼前の乗鞍の迫力、変わった角度からの槍穂高の新鮮な偉容(パノラマ写真)、御岳の優美、意外に鮮明な妙高戸隠、八ヶ岳や木の間から切れ切れに見える南アルプスの遠望、中央アルプスは経ヶ岳の黒と木曽駒の白。二人で写真を撮りまくる。

守屋山 乗鞍岳
<南西、守屋山方面の山並み> <乗鞍岳>

 [思わぬ展望](数字は偏角を補正していない方角測定値)
 ・甲斐駒の左に茅ヶ岳、その遥かに滝子山らしき山影
 ・諏訪湖の東岸と上諏訪の町
 ・四阿山と浅間山を結ぶ稜線の向こうはるかに、いくつか小さく頭を出すのは
  どこの山だろう(58度、61度、64度、71度)
 ・大天井岳左にわずかに頭を覗かせた稜線は劒岳ではなかろうか(357度)

 帰りは北東にのびる尾根をハト峰に向かう。薮こぎのつもりで来たが、「ハト峰へ」という標識が所どころにあり、尾根通しの道は刈り払われている。花をつけ始めたマイヅルソウが道一面に広がっている。足の踏み場がなく、もうしわけないもうしわけないと言いつつ進む。途中、山頂からは見づらかった南アルプス方面がよく見える。

 ハト峰は古い石碑が置かれた小広い山頂。北アルプス方面は林で見えないものの、東側は遮るものなく、美ヶ原から八ヶ岳、南アルプス、木曽駒まで、こちら方面は鉢盛山頂よりも眺めが良い。

ヤマブキ

 蕨を摘みながら大船沢に下る。明るい唐松林の中に山吹の群落。周りが黄色く染まっている。村が近づいたかと思うと、切り開かれたばかりと見えるスキー場に出る。御道開渡のスクールバスは日曜運休で、朝日村役場まで歩く。松本電鉄バスも本数が少ないので結局タクシーを呼ぶ。

[データ]

【日 程】1995年5月27日(土)〜28日(日)
【山域名】北アルプス前衛
【山 名】鉢盛山(2446.4m、一等三角点)、ハト峰(1970.8m)
【天 候】27日−快晴、28日−朝快晴、高曇り
【メンバー】友人H、私
【地形図】1:50,000「塩尻」
【資 料】『遊歩百山8』p.62-63、『日本300名山ガイド西日本編』p.132-133、『車窓の山旅・中央線から見える山』p.258-259
【タイム】
  第1日(実歩行時間2時間30分)
  塩尻駅10:55=>12:00鉢盛山登山口(標高1750m)12:25→13:40水場→13:55→14:05稜線→15:05避難小屋→15:15鉢盛山
  第2日(実歩行時間5時間30分)
  鉢盛山7:40→8:10野俣沢分岐8:20→10:15アキンド高原10:20→10:50ハト峰11:45→13:00大船沢林道終点→13:40御道開渡→14:35小野沢(朝日村役場前)15:00⇒15:15塩尻駅

 車で登山口まで上ってしまえば日帰りも可能ですし、そうする人が多いようです。しかし、山頂に泊って早朝の展望を楽しみたいものです。帰りに、ついでのつもりで寄ったハト峰が予想外の収穫でした。

Walstone

(1995/05/29記 Nifty-serve FYAMAP MES-6 #01361)