シャクナゲには遅かった唐松尾山・笠取山(奥秩父)

 シャクナゲとレンゲツツジを見ようと唐松尾山〜笠取山に行ってきました。今年のシャクナゲは早く咲いてしまったようで、稜線に咲き残りが少しあるだけでした。雁峠でレンゲツツジは見ることができましたが、これも盛りを過ぎていたようです。沢沿いの緑は新鮮でした。甲府からだと日帰りのコースを、笠取小屋に泊って、ゆっくりと楽しんできました。最近購入したGPS受信機eTrex Ventureの初使用山行でもありました。

地図
地図は、「山旅倶楽部」の日本地図「20万全国」をカシミール7.0で描画したものを使用しています。

【日 程】2001年6月23日(土)-24日(日)
【山 名】唐松尾山(2,109m)、笠取山(1,953m)
【天 候】6/23曇り、6/24雨のち曇り
【同行者】息子(小5)
【地形図】1:50,000「三峰」
【資 料】『東京付近の山』(実業之日本社)、『山梨百名山』(山梨日日新聞社)
【タイム】
 第1日(実歩行時間5時間10分)
 三之瀬9:50→11:30牛王院平11:50→12:50唐松尾山→14:35笠取山14:45→15:30笠取小屋
 第2日(実歩行時間2時間15分)
 笠取小屋7:00→7:25雁峠→9:25新地平

 塩山の駅前からタクシーに乗る。柳沢峠、犬切峠を越えて一之瀬の集落。ずいぶん山奥に入ってきた。甲府に住み始めてから20年近くになるが、一之瀬に来たのは初めて。最奥の三之瀬までタクシー代、8,980円也。

<緑の中の登山道> <ツツジ>

 途中、将監峠に向かう道をはずれて尾根道をたどる。落葉松林の中にツツジがある。レンゲツツジよりも背が高い。何ツツジだろう。牛王院平で昼食。

 山の神土で和名倉山への道を右に分ける。左への水源道路は途中に崩壊があるため通行禁止の標識。まっすぐ唐松尾山をめざす。唐松尾山は縦走路の途中のような所で山頂らしくない。シャクナゲの葉はたくさんあるものの花はほとんどが枯れていて、咲いているのはわずか。咲き残ったシャクナゲをデジタルカメラで写したら、花にピントが合わない。Canon IXY DIGITAL300 の欠点だと思う。

<唐松尾山山頂> <シャクナゲの咲き残り>

<笠取山山頂> <笠取山から南西方面を見下ろす>

 笠取山山頂は南方向が少し開けているだけで展望は良くない。と思って少し西に行ったら、西端は防火帯を見下ろす眺めの良い所だった。こちらに「山梨百名山」の棒杭が倒れていた。曇っていて遠望が利かないためパノラマ写真は撮らず。結局、一眼レフカメラは運んだだけだった。
 山頂を西側に下りたところに「小さな分水嶺」の標識。富士川(山梨県)、多摩川(東京都)、荒川(埼玉県)の3つの水系が別れる地点だった。“分水点”というべきか。

<笠取山> <富士川・多摩川・荒川の分水点>

<レンゲツツジ> <笠取小屋の近くのクリンソウ>

 笠取小屋に荷物を置いて、東京都の水源多摩川の源頭といわれる水干(みずひ)を往復する。梅雨のさなかだというのに、ここでは水は落ちていなかった。沢に降りて水源の水を味わってみる。
 小屋からは南方向だけが開けていてそこに形の良い山が見える。大菩薩嶺だった。

<水干(みずひ)多摩川の源頭> <笠取小屋から眺めた大菩薩嶺>

 夜中は激しい雨。朝になって止んだと思ったら、出がけになってまた降り出す。雁峠から古礼山−雁坂峠のコースを予定していたが、雁峠からそのまま下ることにする。渓流が美しい。

<ツツジ> <雁峠下の沢>

Walstone
(2001/06/26記)

 ※上の写真の中には、クリックすると大きく(640x480 or 640x460 pixel)表示されるものがあります。


eTrex Venture は面白い

 多摩の岳夫さんのページ(Garmin eTrex はじめの一歩)にそそのかされて(^_^;)、eTrex Ventureを買ってしまいました。評判のGPS受信機です。犬の散歩に持ち歩いているだけでしたが、ようやく山に持っていくことができました。
 eTrexは車のナビゲーションシステムのように地図データが入っているわけではなく、緯度経度の情報が得られるだけです。TrackLogを記録して、歩いてきた後でこのデータをパソコンに取り込み、地図上にルートを表示して楽しむ、という使い方には良いかもしれませんが、野外で現在地を確認するには地図データを持ったパソコンと繋がなければ実用にはならないだろうと思っていました。eTrexで得られた緯度経度データを、紙の地図上で確認するのは面倒で、野外ではやってられません。だからといって、パソコンまで持ち歩くのは無理です。ザウルスのようなパームトップPCなら現実的ですが、私としてはまだそこまでお金をかける気はありません。
 GPS受信機を持ち歩いてTrackLogをとり、帰ってからカシミールで「山旅倶楽部」の地図にTrackLogを取り込めば、ポイントごとの通過時間も記録されるし、ある程度は面白いと思います。そんな使い方しかないのかなぁ、でも、それだけではすぐに飽きてしまうだろうなぁと思っていました。海とか砂漠など、どこを通ってきたのかわからないような所ならともかく、山に行くときは地形図を持っていくのだから歩いたルートはわかっています。わざわざ器具を使ってルートを確かめることもないだろうと思っていたのです(このページの最初に載せた地図の赤線は、GPSではなく、自分で描いたものです)。
 今回は事前に、カシミールを使って笠取山山頂や笠取小屋、雁峠などの位置をWayPointとしてeTrex Ventureに登録していきました。ある程度WayPointが登録してあると、地形図がなくてもだいたいの現在地がわかりました。単調な地形でまわりに適当な目標物がなく、地形図だけでは現在地が確認しにくいようなところでも、WayPointを表示したeTrex画面と地形図をくらべることで、現在地をかなり正確に知ることができます。山頂や小屋にどの程度近づいたかが簡単にわかってしまうのです。いっしょに行った小学生の息子とeTrexのMap画面を時々のぞきながら歩きました。これは面白いです。
 しかし、読図の能力が不要になるようで、便利だけどこれでいいのかなぁという気がしないでもありません。もっともその昔は地形図なんかに頼っているようでは駄目だと言う人があったでしょうから、器具が進歩し人間の能力が低下するという例の一つなんでしょう。ケータイにGPS機能と地図データが組み込まれるのもそう遠いことではないでしょう。
 林の中で使えるのかが疑問でしたが、葉に覆われていても幹の密度が少ないところなら大丈夫でした。空が見えないような広葉樹の林などですね。杉の植林地帯などに入ってしまうと駄目かもしれません。電池の持ちもまずまずです。
 行く前にWayPointをいくつか登録しておく、というのが私の使い方になりそうです(そのためには山旅倶楽部の地図とカシミールは非常に有効です)。


Canon IXY DIGITAL300 の欠点

 このページの写真はすべてCanon IXY DIGITAL300で写しました。このデジタルカメラは、コンパクトで画質も良く、とても気に入っています。とくに、今回のような雨模様の天候では、カメラケースをベルトにつけておけば出し入れが楽で、気軽に写せました。ザックに入れてあった一眼レフは使わず仕舞いでした。ところが一つ重大な欠点があります。接写時のピントが、目的の被写体に合わないことがあるのです。上に置いたシャクナゲやクリンソウの写真は接写ではないのに、ピントが抜けています。接写の場合はもっとひどくて、キスミレやキノコを接写したものは完全なピンボケでした。ファインダの中央部でピント合わせをするのなら、目的の被写体を中央部においてシャッターを半押ししてからフレーミングし直してシャッターを切るというのが常道でしょう。やってみました。しかし、この機種はTTL3点AiAFという方法でピント合わせをするそうで、要するにカメラが勝手にピントを決めてしまうのです。山から帰ってカメラ付属のマニュアル「ユーザーガイド」を見ると次のように書いてありました。「フォーカスロック撮影のしかた」として「1.ピントを合わせたい被写体と同じ撮影距離にある異なる被写体を、ファインダー中央の四角枠の中に収めます。」(下線は筆者による。接写だと光学式ファインダーと実際の撮影範囲にはズレが生じるでしょうから、ピント合わせは液晶モニタのーの中央部ですることになるのでしょうか)。ピント合わせは、ピントを合わせたい被写体そのものではなく、それと等距離にある別のものにしろというわけです。たぶん、ある程度の大きさを持ったものでないと被写体として認識してくれないのでしょう。たとえば、スミレの花を写す場合は、同じ距離になるような地面にピントを合わせて半押ししてから、カメラの向きを花に向けて全押しするということでしょう。これは、練習しなければならないなぁ。
 付属していたパノラマ作成ソフトのできも良く、液晶モニタも明るくて見やすく、展望写真には言うことなしなのに、接写に難点があるのが残念です。オートフォーカスが苦手な被写体のために、マニュアルフォーカスモードを用意してほしいものです。