家族で鹿島槍ヶ岳（北アルプス）

　今年の夏休みは、家族５人で、扇沢から鹿島槍ヶ岳を往復してきました。大きな団体と出会うことはなく、夏山最盛期にしては恐れていたほどの混雑はありませんでした。しかし天気の方は、日本の上空に寒気が居座っていたためか雲が多く、展望には恵まれませんでした。
　扇沢から爺ヶ岳を経て鹿島槍というルートは、ルート上に小屋が２軒あり、特に危ない箇所もなく、晴れれば種池山荘から鹿島槍まで森林限界を超えた稜線漫歩が楽しめるという、小学生を含んだ我々のような家族登山には最適のコースでしょう。鹿島槍からの下りでは、子供たちは初めて雷鳥を見ることができました。下山後は木崎湖畔に宿をとって温泉に浸かりました。

【日　程】2000年8月9日〜11日
【山域名】北アルプス
【山　名】爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳
【天　候】曇り一時雨
【同行者】子（中３、中１、小４）、妻
【地形図】1:50,000「立山」「大町」
【タイム】
　第１日（実歩行時間３時間１５分）
　甲府6:05=>8:30扇沢登山口8:50→12:40種池山荘
　第２日（実歩行時間５時間５０分）
　種池山荘5:55→6:40爺ヶ岳南峰→6:55爺ヶ岳中央峰→8:10冷池山荘8:35→9:45布引山9:55→10:35鹿島槍ヶ岳南峰11:05→11:55布引山12:15→13:20冷池山荘
　第３日（実歩行時間５時間）
　冷池山荘6:20→6:35冷乗越6:40→7:45爺ヶ岳中央峰8:10→8:35爺ヶ岳南峰9:00→9:35種池山荘10:50→13:55扇沢登山口

　扇沢の橋を渡ったところでスペースを探して車を置く。ほぼ満車状態だった。この付近の数ヶ所で100台くらい置けるらしい。

　最初の急登をすぎるとゆるやかな登りとなる。時々雲がとれて、これからむかう稜線が見える。下山の人達とすれ違いながらゆっくりと歩く。登山者はやはり中高年が多く、小四の三男は「何年生？」と会う人ごとに聞かれている。雪渓に近づいたあたりから雨が落ち始め、傘を出す。最後の急登にかかるところで雨脚が強くなり、下半身を濡らしながら種池山荘に逃げ込む。

＜種池山荘と立山・劒＞	＜日没の劒岳＞

　種池山荘は前に来たとき（1985年）に比べて新しくなっている。空いているせいか、我々だけで６畳ほどの個室をもらえた。
　夕方になると晴れてきて、南方の蓮華岳や針ノ木岳、針ノ木雪渓が見える。小屋から稜線を少し歩くと立山、劒が見える。次男は鹿島槍のスケッチ。その間に爺ヶ岳方向に登ってみる。蓮華岳の稜線から槍ヶ岳が穂先を覗かせてきた。日没前後は光が変化して美しい。結局、今回の山行では、この時が最高の眺めだった。

＜種池山荘付近からの鹿島槍＞ Copyright © Satoru

　二日目は朝から高いところに雲がある。雲に隠れた爺ヶ岳山頂を目指して登る。３つあるピークのうちの南峰と中央峰に立ち寄るが、ガスで何も見えない。冷乗越付近まで下ると東方の浅間山や四阿山が霞ながらも見えてきた。冷池山荘で宿泊の手続きをすませ、鹿島槍にむかう。

　鹿島槍南峰頂上でもガスのため、北峰へ行くのはやめる。（私だけなら、双耳峰は両方のピークを登ってこそと北峰にも行くところだが、以前に登っているからいいのだ。1985年の展望写真）
　あわよくば、日本最遠望記録になる鹿島槍から鳥海山をと思って、カシミールで描いた展望図と600mmの超望遠レンズを持ってきたのに、隣の北峰すら見えない有り様だった。

＜鹿島槍から見えるはずの鳥海山＞ by the Kashmir3D

　鹿島槍からの下りで雷鳥の親子出現。子供たちは初めて雷鳥を見る。

　冷池山荘は昔と変わっていないようで、狭く、トイレが臭う。

　三日目、帰りの爺ヶ岳山頂ではガスが時々晴れて、蓮華岳、針ノ木岳、やや遠くに穂高と槍、大天井岳まで見ることができた。霧が流れるたびに棒小屋沢側にブロッケンが現れる。棒小屋沢は黒部川、劒沢と合流して十字峡を作っている沢だ。
　爺ヶ岳からは、カシミールによると北東方向に西吾妻山が頭を覗かせ、これが約247kmの超遠望になるはずだったのだが．．．。鹿島槍、劒、立山にまとわりついた雲は、依然としてとれない。

＜クルマユリとミヤマキンポウゲ＞ Copyright © by Satoru	＜ライチョウ＞

　種池山荘前で昼食。次男は高山植物のスケッチ。荷揚げのヘリ飛来。その後、荷物を吊していないヘリが扇沢から鹿島槍に向かい、また戻ってくる。遊覧飛行らしい。

Walstone

(2000/8/17記)