白根南嶺地図

南アルプス:転付峠から白根南嶺を経て北岳へ

 梅雨明けをねらって南アルプスに行ってきました。田代入口バス停で降りて、転付峠から白根南嶺を経て、農鳥岳・間ノ岳・北岳の白根三山、最後は池山吊尾根から鷲ノ住山へ出る、というコースでした。  転付峠までは歩きやすいクラシックルート、転付峠〜奈良田越はつらい林道歩き、白根南嶺では二重山稜と這松に苦しめられました。農鳥岳〜北岳間はにぎやかな雲上の稜線漫歩(というほど楽ではなかったけれど)。そして下山はまた静かなルート。天気に恵まれて終始、右手に富士を見ながらの、変化と充実感に富んだ縦走でした。

***

 内河内川は水量豊富で、いくつもある滝の迫力大。保利沢合流点で振り返ると、谷間に富士。

 転付峠手前の水場を過ぎたところで東側の展望が開ける。両耳の立った富士が美しい。

 転付峠から奈良田越に向う林道では、左手に徳右衛門岳から蝙蝠岳への稜線、遥か北には恐ろしく鋭角の北岳が見える。

 奈良田越に幕営。赤富士。

 笹山、白河内岳でようやく森林限界を越える。

白根南嶺
<右から北岳(その右の白いのは雲)、農鳥岳、広河内岳>

 大篭岳付近から甲府の町が見えた。富士屋ホテルを確認、我が家はどこだ。夜中にテントから顔を出せば、甲府の夜景と満天の星。

 広河内岳では1点360度のパノラマ撮影(広河内岳からのパノラマ[QTVR][JPEG])。富士、悪沢、蝙蝠、塩見が主役。大無間や安倍奥の山々が頭を覗かせる。伊豆の山が意外に高い。

 塩見岳は眺める方向によって随分と形が変わる。農鳥岳まで来て、「ようやく塩見岳らしい形になった。」などと友人が言った。

 間ノ岳ではいつもガスが出てしまう。展望は諦めて氷を食べる。

 最終日の朝は、北岳山荘の幕営地から雲海に頭を出した富士。北岳山頂では、ようやく北アルプスを眺めることができた。槍穂の雪が目立つ。丹沢方面も見えているようだが同定できず。

 八本歯のコルでクロユリを撮影。ボーコン沢の頭からは、白籏史朗氏の写真でも有名な、バットレスを正面から仰ぎ見る迫力。広河原へ下るにしても、ボーコン沢の頭を往復する価値大。展望派は逃すべからず。

 縦走の最後は野呂川から鷲ノ住山へ約400mの登り。登って終った山行は今回が初めてだった。

[データ]

【日 程】1995年7月23〜26日
【山域名】南アルプス
【山 名】白剥山、笹山(黒河内岳)、白河内岳、大篭岳、広河内岳、農鳥岳、西農鳥岳、間ノ岳、中白根山、北岳、ボーコン沢の頭
【天 候】ずっと晴れ、25日夜一時雷雨
【メンバー】友人H、私
【地形図】1:50,000「身延」「鰍沢」「大河原」「韮崎」
【資 料】『南アルプス山行記』、『静岡県登山・ハイキングコース143選』、『静岡の百山』、『南アルプス静寂と秘境を求めて』
【タイム】
 第1日(実歩行時間5時間30分)
 身延駅7:10⇒8:30田代入口→9:40発電所→12:05保利沢合流点12:15→14:40水場幕営地15:00→15:10転付峠→18:00奈良田越
 第2日(実歩行時間7時間)
 奈良田越5:55→6:55白剥山7:10→11:25笹山11:35→14:05白河内岳14:35→15:30大篭岳
 第3日(実歩行時間6時間15分)
 大篭岳5:25→6:45広河内岳7:20→7:45大門沢下降点7:50→8:35農鳥岳8:50→9:30西農鳥岳9:55→10:35農鳥小屋12:05→12:20三国平→13:50間ノ岳14:25→15:15中白根山15:30→15:55北岳山荘幕営地  第4日(実歩行時間6時間45分)
 北岳山荘幕営地6:25→7:10吊尾根分岐→7:20北岳7:50→8:00吊尾根分岐8:05→8:25八本歯コル8:45→9:30ボーコン沢の頭10:00→10:50城峰11:25→11:55池山御池小屋12:05→13:40吊尾根登山口(あるき沢橋)14:05→14:35野呂川の吊橋14:40→16:15鷲ノ住山バス停17:00⇒19:00甲府駅

クロユリ 北岳
<クロユリ> <池山尾根から眺めた北岳バットレス>

[ルート情報]

−白根南嶺−
 タクシーなら田代発電所のある広河原まで入ることができ、約1時間の歩きを短縮可能。
 転付峠までの登山道は良く整備されている。
 転付峠から農鳥小屋までの1日余の行程は水場なし。長雨の後だからどこかにあるかもしれないと期待したのは甘かった。
 奈良田越から尾根への取り付きはわかりにくい。林道を奈良田側へ進んだ終点、索道の鉄骨がある所。タラの木の所を入れば踏跡あり。樹林の中の踏跡は笹山手前まではっきりしている。テープ・赤布あり。
 笹山頂上付近は二重山稜になっている。山頂へは5万図の県境上ではなく、右を回り込む。
 白河内岳は地形がなだらかで更にわかりにくい。特に下りは難しそう。踏跡を見失いやすい。背丈ほどの這松に遮られるとどうにもならない。今回は天気に恵まれて見通しが良く幸運だった。
 白河内岳〜広河内岳間は、農鳥岳から見下ろすとなだらかで歩き安そうに見えるが、二重山稜と這松・踏跡の少ないことで意外に苦労する。ガスの時は要注意。

−池山吊尾根−
 冬に登られているため踏跡は明瞭。赤布・マーク多し。5万図では池山御池の西側に道があるが、東側がはっきりしている。池山御池小屋は新築されている。利用可能。ただし、水場は非常に遠いらしい。御池とはいっても湿地程度で、水は得られない。御池から下は木に赤ペンキのマークがたくさんある。
 あるき沢橋から野呂川の吊橋へは、4つめの隧道の入口を左に下る。降り口がわかりにくくなっている。鷲ノ住山への道は良い。
 鷲ノ住山展望台バス停での、広河原から甲府行きのバスの最終通過時刻は17時頃(8/31まで)。

Walstone

(1995/07/28記 Nifty-serve FYAMAP MES-6 #01789)