南アルプス南部は蛭が多いと聞いたことがあります。富士川南部の篠井山や身延山の山麓で蛭にやられたことがありました。涼しくなって、もう蛭の心配はないだろうと、大無間山に行ってきました。ほとんどが樹林の中の道でしたが、山頂付近の数ヶ所で、快晴の南アルプスの展望が得られました。下山後、勘違いがあって(後述)、井川湖沿岸を井川本村近くまで歩いてしまいました。
※上の地図は、「山旅倶楽部」の日本地図「20万全国」をカシミール3Dで描画したものを改変して使用しています。
【日 程】2002年10月12日〜14日
【山域名】南アルプス
【山 名】大無間山・小無間山
【天 候】快晴
【同行者】なし
【地形図】1:50,000「井川」
【タイム】
<夢の吊橋> ここまでは観光客でにぎわっている |
<寸又川林道展望台> 正面は諸沢山、左奥の双耳峰が合地山 |
第一日(10/12)
千頭駅から寸又峡へのバスは満員。みな吊橋へ行く観光客で登山者はいない。
「夢の吊橋」を渡って登った展望台の先、関係者以外立入り禁止のゲートの横から入る。工事中という看板だったが、道は悪くない。途中に作業中の人が二人。
千頭ダムから寸又川左岸林道へ上がると広場になっていてヘリポートがある。新しいトイレと立派な展望図の看板がある。寸又川の向こうに、前黒法師岳から合地山までのパノラマが広がっている。
大樽沢橋を渡ると、大無間山登山口。新しい階段が取り付けられている。林道は、どこも落石の恐れがありそう。場所を選んでテントを張る。
第二日(10/13)
朝日があたってきた不動岳を眺めながら登山口の階段に入る。大樽沢へは、ロープが張られた崖を回り込む。階段、ロープ、橋など、最近整備されたようだ。旧ワサビ田で右岸に渡るのを見過ごして上流へ行ってしまい、もどる。踏み跡をたどっていくと、樺沢のコルよりも上に出る。樺沢からの道を合わせて道は尾根の北側斜面に続いている。地形図の道は尾根上に記されていたので、踏み跡を探して尾根に出る。尾根が広く、目印のテープも少なく、ルートがわかりにくい。GPSで位置を確認しながら尾根を外さないように進む。下りになって水色のテープが見つかった。下りた鞍部に三方窪の標識がある。
<大樽沢入り口> | <三方嶺の下から池口岳> |
三方窪では、はっきりした登りのルートが簡単に見つかった。ここからは、赤テープやペンキの印が多い。登りで一人とすれ違う。三方嶺は北側がガレで、南西から北側の展望が良い。黒法師岳、不動岳などの南ア深南部から池口岳、光岳、兎岳、聖岳までのパノラマが広がる。三方嶺から下ったところが三隅池。大無間から下りてきた人が休んでいた。その人と話すと、三方窪までのルートを間違っていたことに気づいた。道は尾根上ではなく、ずっと北側の山腹を巻いていたようだ。あとで平口善朗氏の『南アルプス山行記』を見直すと、国土地理院の地形図は登山道が間違っていると書いてあった。三隅池から山頂は近い。
<富士山> | <大無間山山頂> |
誰もいない山頂にテントを張る。時間があるので、小無間に向かって10分ほど下った好展望の地点と、山頂南側の前無間を往復する。どちらからも南ア主部の展望が素晴らしい。しかし、富士山の方向は木々に遮られてすっきり見える所がない。
<前無間から南アルプス主脈と白根南嶺> マウスカーソルを画像の上に置くと、山名を表示します。 |
第三日(10/14)
山頂北側の展望台で日の出を待ち、パノラマ写真を撮影。遠くから鹿の悲しげな泣き声が聞こえてくる。
<大無間山山頂北からのパノラマ> 画像をクリックすると、拡大表示します。 |
北の尾根へ迷い込みやすいという中無間は注意して通過。心配していた倒木もそれほど多くはない。唐松沢ノ頭のガレから大無間山の眺めが良い。
<唐松沢ノ頭から大無間山> | <小無間山山頂> |
鋸歯の尾根は、律義に一つずつピークを越えていくのが疲れるが、特に危険なところはない。小無間小屋の手前で日帰りらしい軽装の登山者とすれ違う。山に入ってから3人にしか会わなかった。鋸歯を過ぎて気が緩んだせいか、小無間小屋の下で道のない南尾根に入ってしまい、気づいて登り返す。
田代バス停に11時半着。バスの時間表が複雑な書き方をしてあったので、15時頃までバスがない待ち時間が3時間以上もあるせっかく今朝早く起きて下山してきたのに帰りが遅くなってしまう、と思い込んでしまった。近くの店でタクシーを呼ぼうとするも、井川駅にはなく静岡駅から呼ぶしかないという。ええい、それなら井川駅まで歩いてやろうじゃないかまだまだ体力は余っているぞ、と自棄になって歩き出す。山道と違って舗装道路は足の裏が痛い。30分後には後悔していた。田代で風呂に入ってビールでも飲みながらバスを待つべきだったと思いながら休んでいると、静岡駅発のバスが登ってくる。これが畑薙ダムから折り返してくるはずだから、13時台に1本あったのだ。しかし、井川湖沿いの道の人家のない区間だったため、バス停がみあたらない。結局、井川本村バス停の1つ手前の中野バス停まで歩いてしまった。静岡駅に着くと、甲府行きの特急「ふじかわ」は出たばかり。一つ後のバスでも甲府着は同じだった。このことは、出発前に時刻表で調べてわかっていたはずだったと、この時になって思い出した。
Walstone
(2002/11/09記)