念願だった飯豊の縦走をしてきました。週間の天気予報では東北地方は曇りで、天気からすれば中部山岳にすべきかと思いながらの出発でしたが、幸い好天に恵まれました。期待していたとおりの花と残雪、それに予想外の登山者の少なさに、静かで充実した山行になりました。
【日 程】2002年8月6日〜10日
【山域名】飯豊山地
【山 名】飯豊山、御西岳、大日岳、北股岳、門内岳、地神山、大石山、杁差岳
【天 候】晴れ
【同行者】なし
【地形図】1:50,000「熱塩」「大日岳」「飯豊山」「小国」
【タイム】
第一日(8/06)
甲府から中央線、東北新幹線、磐越西線と乗り継いで山都へ。タクシーで御沢キャンプ場まで入る(5,870円)。登山者名簿に記入して出発。
登山道は花崗岩のせいか、溝状にえぐれている所が多く段差があって歩きにくい。600〜800mごとに出てくる「下十五里」「中十五里」などの杭ごとに小休止をとる。中十五里には水場を示す標識があった。小平地があり幕営可能。
地蔵山の水場で水を補給してから、地蔵山への分岐まで戻り溝状の小沢をたどって地蔵小屋跡の幕営地を探す。ルートはあまり良くなく地蔵小屋跡も見つからないので、引き返して横峰にテントを張る。南東にうっすらと双耳峰が見える。磐梯山だ。
第二日(8/07)
昨日の水場で顔を洗い、剣ヶ峰の岩場を登って三国岳へ。三国小屋から初めて、頭をのぞかせた飯豊本山が見える。左手の大日岳らしい山は雲に覆われている。高原状の種蒔山まで来るとタカネマツムシソウのお花畑が現れる。ニッコウキスゲもちらほらと見える。切合小屋の前に引かれた水をもらう。予想したよりも天気が良く暑い。
飯豊山頂に着いたときは誰もいなかった。百名山であるからある程度の混雑は覚悟していたが、なんという静けさ。大日岳や縦走後半の北股岳から杁差岳の稜線は雲に覆われてしまって、ごく近くしか見えない。まぁ、真夏の日中では天気が良くても展望はこんなものだろう。強い日差しと群れ飛ぶトンボの中でパノラマ写真を撮っているうちに、他の登山者が到着してくる。
<三国岳から飯豊本山> | <イイデリンドウ> |
お花畑の中のなだらかな稜線を花と残雪を眺めながら御西小屋へ。特産のイイデリンドウがあちこちに咲いている。 登山者は少ないようなので、テントはやめて小屋泊りとする。夕方になると風が出てきて大日岳の雲がとれてくる。風は次第に強くなり、一晩中吹き荒れていた。
<お花畑の中の登山道> | <朝の大日岳> |
第三日(8/08)
快晴。ザックを小屋に置いて、大日岳へ。チングルマ、ハクサンコザクラなど好きな花が咲いている。文平ノ池を前景にした大日岳もなかなかよい。戻ってきた空身の登山者数人とすれ違って、大日岳山頂に到着すると誰もいない。風が強いので山頂でゆっくりできないせいかもしれない。展望は素晴らしい。飯豊山が大きい。その右、南東から北西にかけて霞みながらも遠くの山が見える。磐梯山の左は、安達太良と吾妻の山々だろう。帰ってから調べたところによれば、那須、日光、尾瀬の山々が見えていたようだ(遠望パノラマ写真)。これから向かう北方、北股岳や杁差岳が雲に隠されているのが残念だった。
御西小屋を出て、天狗岳、烏帽子岳、梅花皮岳を過ぎ、梅花皮小屋に下る。日差しは強いが風も強いので、稜線歩きはあまり暑くなく気分が良い。梅花皮小屋から見上げる北股岳は遥かに高く感ずるが、登ってみれば20分ほどで着いた。北股岳では、西の方、日本海に佐渡島が見えてきた。
<大日岳からの飯豊山> | <残雪と御西小屋> |
西方はだんだん視界が良くなっているようで、門内岳では佐渡島や新潟の海岸線がわかるようになってきた。ビルの集まっている新潟の町、その手前は新発田の町だろうか。右手には粟島が浮かんでいる。門内小屋の宿泊者は6人だった。
<門内岳から夕暮れの佐渡島> |
第四日(8/09)
雲はあるが天気は悪くない。胎内山付近で北に朝日連峰が見えているのに気づく。右の方の台地状の山は蔵王かもしれない。吾妻連峰も遠望できる。
<地神山から朝日連峰の遠望> | <地神山から頼母木山と杁差岳> |
頼母木小屋は見晴らしの良い台地の上にあった。小屋前に水が引いてある。管理人は門内小屋と同様に、役場の新米職員のようだ。山の経験の有無に関係なく、新入の職員が交代で小屋の管理をさせられているらしい。
<地神山から吾妻連峰の遠望> | <頼母木小屋、遠くに日本海の海岸線> |
<ハクサンイチゲ> | <タカネナデシコ> |
鉾立峰の急な登りはあったが、思ったよりも早く杁差岳に着いた。歩いてきた南方の主稜線が曇ってきてしまったのは残念だ。山頂直下にある避難小屋は無人だが、中はとても奇麗だった。
大熊尾根の下り初めは、両側が切れ落ちた痩せ尾根で高度感がある。林に入ってから大熊沢までの下りが暑く長い。昨夜大熊小屋に泊まって登ってきた女性二人連れとすれ違う。「山に入ってから初めて人に出会った。」と言われた。
<杁差岳山頂から杁差岳避難小屋、 遠くに二王子岳> |
<大熊沢の橋> |
大熊小屋では、北股岳から前後して歩いている長岡の人と二人だけだった。標高が400mほどの谷間に降りてきてしまったため暑くて、寝袋に入らずに眠る。
第五日(8/10)
大熊小屋から大石ダムまでの道は、地図で見ると水平歩道のように見えるが、歩いてみると意外に上り下りが多い。沢沿いの道は幅が狭く沢側が切れ落ちているため気が抜けない。所々でブナ林に入ると道はなだらかで木陰になりブナの緑が心地よい。
滝倉沢の大吊橋が見えるまでが長く、その後の舗装路の歩きも長かった。トンネルを抜けた大石ダムからは上流に杁差岳の頭が見えていた。大石ダムの管理事務所前には、ポンプで汲み上げた水を出す竹の管がある。10分流して40分休止とのことで、車にポリタンクを積んできて水が出るのを待っている人がいた。時々新発田から来るのだそうだ。出始めた水をペットボトルに入れる。確かにうまい。
<十貫平のブナ林> | <大石ダムからの杁差岳(左手遠方)> |
駐車場の公衆電話からタクシーを呼んで、長岡の人と相乗りで越後下関へ。タクシーの運ちゃんに聞くと、越後下関駅の近くの道の駅の隣りに村営の日帰り温泉施設があるとのことで、温泉へ直行(桂の関温泉ゆ〜む)。温泉に生ビール(^_^)。
米坂線、白新線、上越新幹線、中央線と乗り継いで甲府盆地に帰ってくると、こちらも良い天気だったようで、夕暮れの空に南アルプスのシルエットが浮かんでいた。
Walstone
(2002/08/24記 @nifty FYAMAP MES-6 #20935に展望報告あり)