釈迦ヶ岳から蛾ヶ岳

地図

 四尾連湖から蛾ヶ岳〜釈迦ヶ岳〜三方分山と尾根をつないで精進湖まで歩いてみたいと以前から思っていました。一日で歩くには四尾連湖畔の民宿に泊って早朝に出発する、という日程がガイドブックなどに紹介されています。しかし、遠方の人はともかく、甲府に住んでいるからには日帰りで歩きたいものです。そのためには市川大門から四尾連湖までタクシーを使うしかありません。早朝のタクシーを予約しようと電話をしたら、7時以前の営業はしていないとのこと。帰りの精進湖からのバスが少なく、遅い出発では日帰りは無理そうです。調べてみたら、芦川駅の近くから下芦川までの町営バスがあることがわかりました。コースを半分にして、最初の案とは逆向きに釈迦ヶ岳から蛾ヶ岳へと歩くことにしました。

【日 程】2009年11月21日(土)
【山域名】御坂山地
【山 名】釈迦ヶ岳(1271.2m)、蛾ヶ岳(1279.0m)
【天 候】晴れ
【同行者】なし
【地 図】20万分の1地勢図「甲府」、1:50,000地形図「甲府」
  ※ピンクの線がバス、赤線が歩いたルート
  ※上の地図をクリックすると、5万分の1地形図が表示されます。
  ※5万分の1地形図は旧版のため、地蔵峠と折門峠の位置が現地とは異なり、林道折八古関線も記載されていない。
【タイム】芦川駅6:20 ⇒(市川三郷町営バス)⇒ 6:45下芦川 →8:05林道折八古関線 → 8:50釈迦ヶ岳9:05 → 9:15林道折八古関線 → 9:25八坂峠 → 9:50アンバ峠 → 10:15栂ノ峠10:20 → 10:40折門峠 → 11:25蛾ヶ岳11:55 → 12:30大畠山 → 12:50四尾連峠 → 13:15のろし台 → 13:30尾根分岐 → 14:10道路 → 14:35芦川駅(実歩行時間6時間50分)

 甲府始発の身延線で、6時前の、まだ暗い無人の芦川駅に降りる。下芦川行きの町営バスが芦川駅近くから出ているとのことでバス停を探して歩き回るが、見つからない。うろうろした後、タクシーの車が置いてある家のおばさんにバスのことを尋ねると、そこにバスの車庫があり、今シャッターを上げるところだった。バス時刻が書かれたバス停の看板が車庫の横に隠すように置かれていた。このバスは、一日3往復で、日曜のみ2往復。おもに芦川の子供たちが市川の町に通学するためのバスらしいが、土日も運行されているのがありがたい。

 土曜日の早朝の下芦川行きは、客は当然ながら私一人。30分弱で下芦川について、地形図に破線が書かれている釈迦ヶ岳の北尾根に取りつく。ガイドブックにもネット上にも情報のないコースで、荒れていることも覚悟していたが、普通の山道だった。しばらく登ると、テレビ用のアンテナが立てられていて、南アルプスが眺められる。葉が落ちた尾根道も気持ちが良い。

 尾根道は、標高1,050m付近で林道折八古関線に切られてしまうが、林道のカーブを回り込んだ所に尾根に上がる踏み跡があった。上がった所は樹木が伐採されていて西方の眺めが良い。これから向かう蛾ヶ岳と、その向こうに南アルプスの山並みが連なる。踏み跡は、まっすぐ釈迦ヶ岳の山頂へは向かわず、少し右にそれて、釈迦ヶ岳の右肩で八坂峠から続く釈迦ヶ岳の西尾根に出る。西尾根の登山道から、今登ってきた方向には進入を遮るように木が渡してあった。西尾根に合流すれば釈迦ヶ岳の山頂はすぐだった。山頂は木立に囲まれて展望はあまり良くない。木々の間から白根三山が見える。南側に松葉林越しに富士が見えたのが意外だった。

 西尾根を蛾ヶ岳を目指して進む。再び現れた林道折八古関線に梯子で降りて林道を渡り、八坂峠へ。さらにそのまま尾根通しにアンバ峠に向かう。八坂峠からアンバ峠を経て地蔵峠までの尾根は、地図に道の記号はなく、踏み跡も薄い。八坂峠もアンバ峠も今ではほとんど使われていないようだ。

 地蔵峠の手前は尾根が二つに分かれて地形がやや複雑になっている。GPSと地形図で位置を確認しながら進むと、大きな栂の木のある場所に出た。栂ノ峠(地蔵峠)だった。ここからは、はっきりとした踏み跡がある。大平山は登山道に従って山頂は通らない。左手後方に、ちらちらと富士を眺めながら歩く。蛾ヶ岳は近いはずだが、意外にアップダウンがある。

 蛾ヶ岳山頂付近は、やたらに人が多い。芦川の谷から登り始めてここまで一人も出会わなかったのに、ここには20人くらいのグループが二組もいて、にぎやかだ。好天に恵まれて、南アルプスと甲府盆地の眺めが素晴らしい。

 先ほどの団体をやり過ごしてから下っていくと、今度は50人くらいの大集団が登ってきた。しかし、ほとんどは四尾連湖からの往復のようで大畠山や四尾連峠まで来ると誰もいなくなってしまった。四尾連峠から市川大門の町に下る道は昔からの道で、今ではあまり歩く人もなくなったようだが、なだらかでしっかりとした歩きやすい道だ。地形図に仏岩と書かれた868mの標高点の場所は、東屋が作られ公園のようになっていた。武田信玄の時代に烽火台があった場所のようだ。

 良い道をそのまま下れば市川本町の駅に出るが、今日は芦川支流のうなぎ沢沿いの尾根に入る。地形図には破線が描かれているが、今ではほとんど廃道だろう。薮漕ぎになるのを覚悟して急な尾根を下る。最初は、かすかな踏み跡があったが、案の定、薮になった。しかし、小沢を渡ると対岸にまた踏み跡が現れ、細々とではあるものの、車道へ出るまで続いていた。

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<市川三郷町営バス>バス時刻の看板が車庫の陰の目立たない所に置かれていた.
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<釈迦ヶ岳北尾根>冬枯れの歩きやすい尾根道.
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<釈迦ヶ岳北尾根からの南アルプス>林の切れた所で白根三山と鳳凰山が見えた.
<市川三郷町営バス> <釈迦ヶ岳北尾根> <釈迦ヶ岳北尾根からの南アルプス>

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<林道折八古関線>北尾根が林道で寸断された地点.林道を向こうに回り込んで、こちらを見たのが次の写真.
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<林道折八古関線から釈迦ヶ岳へ>釈迦ヶ岳へは、この崖を右上に登る.
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<蛾ヶ岳と南アルプス>林道から登った所は視界が開けて、蛾ヶ岳と南アルプスの眺めが良い.
<林道折八古関線> <林道折八古関線から釈迦ヶ岳へ> <蛾ヶ岳と南アルプス>

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<釈迦ヶ岳〜蛾ヶ岳の尾根に合流>登ってきた旧道と釈迦ヶ岳西尾根との合流点.旧道への入口は木でふさがれていた.
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<釈迦ヶ岳山頂>三角点は三等.遠方の雪山は間ノ岳と北岳.
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<釈迦ヶ岳山頂からの富士>松の木の間から富士が見える.
<釈迦ヶ岳〜蛾ヶ岳の尾根に合流> <釈迦ヶ岳山頂> <釈迦ヶ岳山頂からの富士>

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<林道折八古関線>西尾根を下ってくると、ここでも林道折八古関線に切られる.八坂峠、蛾ヶ岳へは右手に下る.
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<アンバ峠>峠は植林の中.ここから栂ノ峠までの尾根に道は、ない.
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<栂ノ峠>国土地理院の地形図の地蔵峠.古い地形図では位置が異なる.
<林道折八古関線> <アンバ峠> <栂ノ峠(地蔵峠)>
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<栂ノ峠の大栂>
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<紅葉>
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<折門峠>地蔵峠と同じく、国土地理院の古い地形図では位置が異なっている.林で、展望は、ない.
<栂ノ峠の大栂> <紅葉> <折門峠>

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<蛾ヶ岳への尾根道>正面に蛾ヶ岳が見える.
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<蛾ヶ岳山頂から四尾連湖と白根三山>
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<蛾ヶ岳山頂から富士と竜ヶ岳>
<蛾ヶ岳への尾根道> <蛾ヶ岳山頂から四尾連湖と白根三山> <蛾ヶ岳山頂から富士と竜ヶ岳>

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<蛾ヶ岳山頂からの甲府市街>蛾ヶ岳山頂から望遠レンズで見た甲府市街.大きなビルや平和観音が識別できる.
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<山腹の紅葉>芦川流域の山腹は一面の紅葉.しかし、茶色っぽい。
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<紅葉>わずかに残った紅葉.
<蛾ヶ岳山頂からの甲府市街> <山腹の紅葉> <紅葉>
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<四尾連峠から櫛形山と農鳥岳・間ノ岳>林の中で暗い峠だが、北西側が窓のように開けて南アルプスが見えた.
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<市川大門へ下る道>歩く人は少ないようだけれど、しっかりした歩きやすい登山道.
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<芦川渓谷入口の道路に出る>車道を向こうに進んで芦川駅へ.
<四尾連峠から櫛形山と農鳥岳・間ノ岳> <市川大門へ下る道> <芦川渓谷入口の道路に出る>

Walstone
(2009/12/05記)