Mt Taranaki

Mt Taranaki から超遠望

 ニュージーランドの北島にある、Mt Taranaki(Mt Egmont) に登ってきました。

【期  日】1997年2月13日
【山  域】New Zealand
【山  名】Mt Taranaki/Egmont(2,518m)
【メンバー】単独
【タ イ ム】
 Inglewood 5:00=>5:30 North Egmont 5:40->6:45 Tahurangi Lodge 7:00 ->7:30 Moss Slope 7:40->9:25 Summit 10:20->11:30 Moss Slope 11:40->12:00 Round Track 12:10->13:00 North Egmont

 2月12日に、北麓の North Egmont にある Camp House に泊まろうとしたら、閉鎖されていた。1996年5月1日付けで、"The camphouse will be remain closed until it can be restored. The building currently does not meet the hygiene regulations." という張り紙があった。しようがないので15kmほど戻って、Inglewood のモテルに泊まる。予報どおり、天気は回復してきて、寝る前にはオリオン座と冬の大三角が天頂に綺麗に見えた。

 2月13日は、朝4時過ぎに起きる。太陽の位置からいうと、2時間ほどずれているから、日本の夏の2時過ぎに当たり、真っ暗。南十字星が天頂付近に来て、サソリ座も高いところに横たわっている。マゼラン星雲が雲のように良く見える。暗い中を車で North Egmont へ。

 Information Centre の駐車場に車をおいて、登山開始。登山口付近には雲があって雨がぱらつくが、上の方には星空が見える。絶好の登山日和になりそう。

 North Egmont が標高936m、山頂は2,518mだから、標高差は1,500m以上になる。富士山の五合目からの登山よりもきつくなりそう。ガイドブックによると、登り4〜6時間とある。

 標高1,468mのテレビ塔までは作業用の車道が通っている。テレビ塔のすぐ上にある Tahurangi Lodge(Taranaki Alpine Club の山小屋で、無断では使用できない)の前で休んでいると、日の出。7時少し前。南側の半分は、一面の雲海。北方、New Plymouth の町と北の海岸線は良く見える。

Mt Ruapehu Track
[Mt Ruapehu before sunrise] [Round the Mountain Track]

 標高1,700m付近からの Moss Slope と呼ばれるスコリア斜面は、崩壊防止のため木の階段が付けられている。618段(数えた(^^;)。これを過ぎて、岩の尾根に取りつくあたりから傾斜が急になる。富士山の九合目くらいの感じか。ぶらさげていたカメラをザックにしまって、手を使って登る。駐車場には数台の車があったが、他に登山者は見あたらない。数十メートルおきにあるルートを示す1.5mくらいの木のポールを探しながら登る。標高は富士山よりも1,000m以上低いから空気が薄いということはないものの、きつい傾斜にあえぐ。休み休みでも直登だから高度は稼げる。

Moss slope Pouakai Range
[Moss slope] [Pouakai Range]

 North Ridge の最後の岩場を越えると、火口の雪田に出る。火口は富士山と違って丸いお椀状ではなく、北側と南側に開いていて、雪の斜面が続いている。火口部の雪は夏でも消えず、氷河化しているらしい。火口の東側には鋭く尖った Sharks Tooth(2,510m)。西側の山頂までは雪田からスコリアの斜面をひと登りで達する。誰もいない。本日の初登頂だ。

Sharks Tooth Snow Field
[Sharks Tooth. Mt Ruapehu in distance] [Snow Field in the Crator]

 山頂は南北に細長く、歩き回って360度のパノラマ写真を撮影(パノラマ写真)。北の方面以外は、一面の雲海に覆われている。東に Mt Ruapehu と Mt Ngauruhoeが雲海の上に頭を出している。山頂部の広い Ruapehu は御岳のようで、Ngauruhoe は富士山にそっくりだから、日本の山にいるような感じ。距離は130kmほどで、まずまずの遠望である。北の海岸線をたどると先に低い山が見えている。50万図で調べると、Pirongia(959m) らしい。こちらは170kmくらいの距離になる。

 南側の平地や海岸線は雲海で見えないので、ウェリントン方面の展望は諦めていたら、何と南方の雲海の彼方に頭を出した山らしいものが幾つか見える。双眼鏡で見ると雲ではなく、確かに山らしい。コンパスグラスをとりだす。小さいのでコンパスグラスの2倍の視野では簡単にはとらえられず、双眼鏡と交互にのぞきながら、何とか3つの山の方位を測定する。左から、165度、178度、192度。確認のため、Ngauruhoe の方位を測定しておく。61度。

 下山を始めると、数人のグループが登ってくるのに出会う。結局、下りで50人くらいの人とすれちがった。帰りは、Round the Mountain Track(富士山のお中道のようなコース)の一部をたどって、北寄りの尾根から登山口の Notrth Egmont にもどる。

Tahurangi Lodge North Egmont Visitor Centre
[Tahurangi Lodge] [North Egmont Visitor Centre]

 自宅に帰ってから、南島北部のめぼしい山の「やまおたく」データを作成して、「やまおたく」してみました。データは次の通りです。

Taranaki -39.1750 174.0350 2518 taranaki A
Ruapehu -39.1726 175.3345 2797 ruapehu A
Ngauruhoe -39.0936 175.3801 2287 ngauruhoe A
Tongariro -39.0758 175.3812 1967 tongariro A
Snowden -41.0209 172.3609 1859 snowden A
Owen -41.3306 172.3221 1875 owen A
KakapoPeak -41.0117 172.3329 1783 kakapopeak A
Richmond -41.2548 173.2346 1756 richmond A
Rintoul -41.3125 173.1411 1731 rintoul A
RedHill -41.3742 173.0326 1790 redhill A
Tapuaenuku -41.5948 173.3949 2885 tapuaenuku A
Pinnacle -41.4847 173.1627 2131 pinnacle A
ScottsKnob -41.5041 173.0304 2160 scottsknob A
Travers -42.0057 172.4400 2338 travers A
Franklin -42.0308 172.4116 2339 franklin A
Manakau -42.1338 173.3700 2610 manakau A

 新版の「やまおたく for Mac 0.7.3」では、磁針方位偏差の補正ができるので 早速、東偏21度に設定して方位を読み取りました。その結果、
 165度の山→ Tapuaenuku(約165度、301.6km)
 178度の山→ Red Hill (約177度、272.5km)
 192度の山→ Snowden (約191度、229.7km)
ではないかと考えました(かっこ内は「やまおたく」の表示)。ただし、61度と測定した Ngauruhoe の方位は、63度となっており、2度くらいの測定誤差があるようで、上記の結果には若干の不安が残ります。しかし、192度の山のすぐ右には同じ位の高さのピークが見えていたので、これが、Kakapo Peak とすれば、山容としては、かなり確からしく感じました。

 以上の結論が正しいとすると、300kmを超える遠望ができたことになります。望遠ズーム(210mm)で写真撮影してきましたので、現像ができたら、方位を測定できなかった山もあわせて調べてみようと思っています(註)。

Walstone from Wellington, New Zealand

(1997/02/23記 Nifty-serve FYAMAP MES-6 #08300)

(註)その後の検討の結果、165度に見えた山はやはり Tapuaenuku に間違いないと思います(写真)。